冷間鍛造とは、金属に、常温のまま金型により高い圧力をかけ、変形させながら成形する加工方法のことをいいます。冷間鍛造には、材料歩留まりがよく、加工速度が速いなどの特長があります。そのため、切削加工で製作を行なっている製品を冷間鍛造によって加工を行うことで、リードタイム短縮・コストダウンが実現できます。本記事では、冷間鍛造のメリットや実際に冷間鍛造による工法転換事例などについて開設いたします。

冷間鍛造とは

冷間鍛造とは、塑性加工の一つです。常温のまま、鍛造機械・圧造機械に金型をセットし、金属に高圧力をかけ成形する加工方法です。他工法と比較しても非常に高い圧力をかけるため、大きな圧縮応力を受けて塑性変形した材料は、機械的性質が改善され、様々な加工によるメリットが発生します。

冷間鍛造で製造した加工品の特性・機能性におけるメリット

冷間鍛造には、以下の3つのメリットがあります。

❶材料歩留まりが良い

冷間鍛造は、加工の性質上、材料の質量と同じ程度の質量を持った完成品に仕上がります。
一方で、切削加工は、材料から製品の形状に削り出す必要があります。そのため、切削加工と比較すると、冷間鍛造は、材料歩留まりが良いという特長があります。

❷リードタイム短縮に繋がる

切削加工は材料から製品の形状に削り出す必要があると説明いたしました。
そのため、製品の削り出すための時間が多くかかってしまいます。一方で冷間鍛造は、鍛造機械・圧造機械によって、圧力をかけることで製造していくため、1ショットだけでは成形できない製品はあるものの、切削加工と比較すると加工時間が少なく、リードタイムの短縮につながります。

❸素材強度より高強度化が可能

冷間鍛造では、ファイバーフローラインが保存されるため、強度高く、耐摩耗性に優れた製品が加工出来ます。ファイバーフローラインとは、金属組織のもつ流れのことをいいます。このファイバーフローは、金属の強度を決定する重要な要素の一つです。
また、冷間鍛造で成形をすることで、加工硬化も生まれる為、さらに強度の向上が見込めます。

以上のメリットにより、冷間鍛造による加工では、切削加工に加え、材料歩留まりが良く、リードタイムの短縮が可能です。

そのため、切削加工から冷間鍛造への工法転換はお客様にとってメリットがあり、生産ロットによっては高い効果が期待できますので、当社では冷間鍛造のみでの成形や、冷間鍛造+切削加工を前提とした工法転換をご提案しています。

以下では、当社で実際に工法転換によりコストダウンに繋がった事例をご紹介いたします。

冷間鍛造への工法転換によるコストダウン事例

オイルジェットのパイプ部分の工法転換事例についてご紹介いたします。冷間鍛造では、写真の赤〇にある箇所を製造しており、従来はパイプを購入していたところから製造へと置き換えることでコスト削減に成功しました。

切削加工から冷間鍛造への工法転換に向かない製品もある

切削加工から冷間鍛造への工法転換によるコストダウンを検討する際には、注意が必要です。工法転換には向かない製品や、注意点についてお伝えいたします。

小ロット品には向かない

冷間鍛造加工を行うには、金型が必要なため、イニシャルコストとして金型費がかかることになります。そのため、小ロット品では、イニシャルコストとしてかかる金型費用を、賄いきれない可能性があります。逆に言えば、大量生産品であれば、切削加工からの冷間鍛造によってコストダウンが望めると言えます。

高精度を求められる場合には向かない

冷間鍛造加工の一つの難点ではあるのですが、切削加工ほどの精度を出すことができないという点があります。
ミクロン台の寸法公差を求められたりするような高精度な製品の場合は、冷間鍛造への工法転換が難しい場合もあります。
ただし、製品の用途上、求められる精度を下げても問題ない場合というのもございます。

そういった場合には、あえて製品の精度を下げて設計することで、冷間鍛造でも実現可能な精度となり、工法転換によるコストダウンが可能になることもございます。

ですので、切削加工品のコストダウンを検討しているかたは、精度が高いためコストダウンを諦めるのではなく、まず問い合わせてみてください!

冷間鍛造のことなら、精密バルブパーツ・継手 組立製造センターまで!

精密バルブパーツ・継手 組立/製造センターを運営する荻野工業では、金型の設計・開発力を活かし、他社では難しい・断られてしまったような高難易度の冷間鍛造技術を活かし、様々な部品の工法転換を行ってきました。

例えば、切削加工品を冷間鍛造へと置き換えることや、切削加工+冷間鍛造で行っていた部品を冷間鍛造へと置き換えるなど、工法転換の種類としては様々にあります。

また、精密パイプの成形において、中空材を絞ることで成形していた所から、コイル材から成形することでコストダウンを実現し、15%程度のコストダウンも実現可能です。

切削部品の冷間鍛造によるコストダウンをご検討中の方は当社までお問い合わせください。